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チャンドラー名言集 #1 ~酒について (5/100)

 
  2017/12/06
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・マーロウがテリー・レノックスの前に酒を置いて(『ロング・グッドバイ』より)

家を出る前に、私はウィスキーのボトルを、カウチの前のテーブルに置いた。「もしプライドがあるのなら、こいつに向かって見せてやるんだな」

・テリー・レノックスがマーロウと酒場で(『ロング・グッドバイ』より。改行引用者による)

「夕方、開店したばかりのバーが好きだ。店の中の空気もまだ涼しくてきれいで、すべてが輝いている。バーテンダーは鏡の前に立ち、最後の身繕いをしている。ネクタイが曲がっていないか、髪に乱れはがないか。
バーの背に並んでいる清潔な酒瓶や、まぶしく光るグラスや、そこにある心づもりのようなものが僕は好きだ。
バーテンダーがその日の最初のカクテルを作り、まっさらなコースターに載せる。隣に小さく折り畳んだナプキンを添える。その一杯をゆっくりと味わうのが好きだ。
しんとしたバーで味わう最初の静かなカクテルー何ものにも代えがたい」

・マーロウ独白(『水底の女』より)

私は自分が横にいて話を聞いていることを知らせるために、身体を少しだけ動かした。しかしそこにある魔法を損なうことを恐れて、口ははさまなかった。じっと坐ったまま、飲み物にも口をつけなかった。酒が嫌いなわけではないが、誰かが私を日記帳がわりに使っているような場合には、飲むのを控えたほうがいい。

・テリー・レノックスがマーロウに(『ロング・グッドバイ』より)

「アルコールは恋に似ている」と彼は言った。「最初のキスは魔法のようだ。二度目で心を通わせる。そして三度目は決まりごとになる。あとはただ相手の服を脱がせるだけだ」
「どこがいけない?」と私は尋ねてみた。

・マーロウと、死んだはずのテリー・レノックス再会の場面で(『ロング・グッドバイ』より)

彼は手を伸ばして、サングラスを外した。瞳の色だけは変えられない。
「ギムレットを飲むには少し早すぎるね」と彼は言った。

・マーロウとジェシー・フロリアン(『さよなら、愛しい人』より)

「ちょっとした金が絡んでいる。それほど大した額ではないが。たぶんその金に手を付けるために彼女が必要になったのでしょう。金というのは人の記憶を鋭くするものだから」
「酒もそうだよ」と女は言った。

・事務所を訪ねてきたアン・リオーダンとマーロウ(『さよなら、愛しい人』より)

「私には勧めてくれないのね」と彼女はそっけない声で言った。
「すまない。まだ十一時前だし、君はそんな時刻に酒を飲みそうなタイプには見えなかったんだ」
目の端っこにしわがよった。「それはほめ言葉なの?」
「私の世界ではね」
彼女はそれについて少し考えた。しかし彼女には別にどちらでも良いことだった。

・〈クラブ・ボリヴァー〉で、ロンダ・ファーがマロリーに(「ゆすり屋は撃たない」より)

「こんな店、大嫌いよ」か細い声で言った。「暗くなるまでどこかに身をひそめているのね。悪鬼みたいに。客は下品に浮かれ騒ぎ、無意味に罪を犯してるだけ」彼女は手を白いテーブルクロスの上におろした。

・バーテンとマーロウの会話(「赤い風」より)

若者は言った。「ぼくは第一に酔っ払いが好きじゃない。第二に連中がここで酔っ払うのが好きじゃない。第三にやっぱり酔っ払いが好きじゃない」
「ワーナー・ブラザースが使いそうな台詞だ」私は言った。
「もう使ってます」

・オフィスで感慨にふけるマーロウ

昼メシを取りに行こうかと考えていた。そして人生はかなり味気ないものだとも考えた。もし酒を飲んだとしても、その味気なさにはさして変わりはあるまいし、それに一日のこの時刻に一人で酒を飲むことは、どのみちたいして愉快なことではあるまい。

・酒瓶で後頭部を殴りつけられたマーロウが意識を回復して(『水底の女』より)

ジンの匂いがした。それも、冬の朝にベッドから出るために四杯か五杯ひっかけたというような生半可なものではなく、太平洋がそっくりジンでできていて、船の上からそこにまっすぐダイビングしたというくらい強烈な匂いだった。髪から眉毛まで、顎の先から顎の下までジンに濡れていた。

・マーロウがグレイル夫人に(『さよなら、愛しい人』より)

「まだ仕事中でしてね。そしておたくのスコッチはとても上物なので、そう簡単には酔っ払わない。べつに酔っ払わなくても--」

・マーロウがヘレン・ヴァーミリアに(『プレイバック』より)

「いったい誰が水なんてものを必要とするんだい、ビューティフル? 私はストレートでやるし、チェイサーはビールで済ませる。そしてその気にさせてくれれば、もっと美しい音楽を奏でるかもしれない」

 

 

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