プラトン「ミノス」覚書

プラトン「ミノス」(プラトン全集第13巻所収)の覚書。

◎登場人物
・ソクラテス
・友人(無名。ソクラテスの友人)

このプラトン全集を読みはじめるにあたって最初にこの「ミノス」を選択したのは、とくだんの意図があったわけではありません。その概要も事前には把握しておらず。
結果としてはこの「ミノス」は短めの文章で、かつそれほど難解でもなく、全集導入としてはいいホップでした(30分もかからず読了)。

内容としては、「法(=きまり、慣習)」の定義を話しています。
ソクラテスの友人は、〈法〉というのは、決定された諸諸の〈法の集合〉と考えています。

ソクラテス
法(きまり、習俗)というのは、われわれにとってなんであるかね
友人
法(きまり、習俗)といってもいろいろあるが、君の尋ねているのは、そのうちのどんな法のことかね
ソクラテス
なんだって? 法と法との間に、法であるというまさにその点においてなにか相違があるのかね。(中略) つまり、それらの各々は同じように法であって、ある法はいっそう多く法であり、ある法はいっそう少なく法であることはないのだ。そういうわけで、、そのもの自体を、つまり全体として法がなんであるかをぼくは尋ねているのだ。

ソクラテスは、諸諸の法を法たらしめている〈法の本質〉を問いただしていきます。
友人は、〈法〉とは時と場所によって異なる総体的な性質を備えたモノだと主張するのですが、それはソクラテスによって違うのだと認めさせられます。

では、〈法の本質〉とはなんでしょう?
法とは、たとえば「重力の法」や「医療の法」のように、常に正しく、不変である、というのがソクラテスの主張です。ここで言われているのは、あるがままの事実や真理に基づいた法こそが〈法〉なのであって、国家の立法は専門知を有する政治家や王様によって行われるというんですね。

ソクラテス
また、羊の群を牧するに誰がいちばん力があるかね。その者になんという名前があるのか
友人
羊飼い
ソクラテス
すると、羊飼いの決める法が羊にとっていちばんいいわけだ
友人
そうだ
ソクラテス
また、ウシにとっては牛飼いの決める法が
友人
そう
ソクラテス
ところで、人間の魂にとっては誰の決める法がいちばんいいのかね、王の決める法ではないか。答えてみたまえ
友人
たしかにそのとおりだ、認めるよ

タイトルの「ミノス」というのは、賢王とされた王様の名前ですが、彼のような人物によって事実や真理が理解把握されれば、それらは正しく法律として立法されることとなり、普遍性を持つのだというのですね。

政治家も王様も、あるがままの事実や真理を理解して把握していれば正しく立法化する・・・と言うことなんでしょうけれども、あくまでも。
次回は「饗宴」を読んでいきます。